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日本で一番古い建築様式と言われている飛鳥様式の解説をしていきます。写真だけではわかりにくいので、スケッチを入れています。飛鳥様式が理解できるように書いています。では飛鳥様式を法隆寺の金堂を例にして説明します。五重塔の簡単な構造や、名称の説明も載せています。
法隆寺金堂でみる飛鳥様式の特徴
法隆寺の金堂は飛鳥様式の特徴が一番よく表れています。金堂を中心に飛鳥様式を説明します。
飛鳥様式の特徴とは?
- 胴張のある円柱(法隆寺の柱のふくらみをエンタシスと書いているものを見かけますが、エンタシスであるかどうかは証明されていません。エンタシスとはギリシャ神殿の柱のふくらみのことを言います)
- 柱の上部は皿斗付きの大斗
- 高欄に卍崩しの形が入っている
- 高欄に人形束(又は割束)が入っている(五重塔にはない)
- 軒下の斗供、肘木が雲型になっている
- 軒の構造
1・胴張の柱
法隆寺の中門、金堂、五重塔、回廊の柱は少し膨らんだ形になっています。そして、柱上部の大斗の下に皿斗がついています。
法隆寺の柱はギリシャのエンタシスと同じという説明を聞くことがあります。色々な解説がありますが、私はギリシャと法隆寺は関係ないと考えています。
柱については別の記事で私の考えを書いています。興味のある方はよんでみてください。
法隆寺エンタシスの柱 エンタシスと呼ばれるのはなぜか?2・高欄
法隆寺の金堂、中門の高欄には卍崩しと、人形束が入っています。五重塔の高欄には人形束がありません。
3・雲斗雲肘木
肘木や斗が雲型をしている。
4・軒の構造
上記の断面で、尾垂木の先に乗った巻斗(まきと)で上部の丸桁(がんぎょう)を受けています。その上に垂木がのっています。
飛鳥様式では垂木と尾垂木が屋根の荷重を受けています。その荷重が尾垂木の先端にかかります。飛鳥時代では垂木と尾垂木で軒を出す構造になるので、軒先が下がりやすくなっています。
軒先が垂れてくるため、屋根の隅木に束が入っています。垂木が一段になっている軒を一軒(ひとのき)といいます。
薬師寺や唐招提寺は一軒から二軒に、雲肘木もなくなり、三手先(みてさき)に進化していきます。
裳階(もこし)ってなに?裳階は飛鳥様式?
法隆寺の金堂、五重塔には裳階というものがついています。創建当初は裳階はついていなかったと考えられていて、雨除けのためにつけられたようです。
裳階は後からつけた雨除けで、飛鳥様式の特徴とはいえません。
ちなみに裳階付きの建築物はけっこうあります。
裳階付きの建築は、薬師寺の西塔、東塔、興福寺・中金堂、法界寺・阿弥陀堂などがあります。
五重塔
五重塔も飛鳥様式となっています。金堂との違いといえば、高欄に人形束がないことくらいでしょうか。
五重塔も金堂と同じように一軒の軒先になっています。
五重塔の構造・名称など
飛鳥様式とは関係ありませんが、五重塔の構造と名称を書いておきます。
五重塔も金堂も軒を出す構造は基本的には同じです。
柱のたてかたは、垂木の上に台輪を乗せ、その上に柱を立てます。そうして、少しづつ下層と柱の位置をずらすことによって逓減率の大きな立面になります。
正面からみると上に行くにしたがって上部が小さくなっていくことがわかります。法隆寺の五重塔の逓減率は約0.5です。
金堂も上下の柱の位置がずれているので、逓減率が大きくなっています。
相輪は心柱が下から支えています。心柱はどこにも触れていません。法隆寺の心柱は掘っ建てになっていて、土の中に埋まっていたそうです。(今はどうなっているかはわかりません)
昭和24年の調査で心柱の下に仏舎利容器が収められていることが確認されました。
仏舎利容器のレプリカが大宝蔵院に展示されています。
まとめ
飛鳥様式についてまとめてみました。軒先の構造等は現地で見ることができないので、参考にしていただければと思います。
様式を知ることによって、建築の楽しみ方が増えると思います。飛鳥様式だけでなく、和様、大仏様なども今後まとめていきます。
法隆寺金堂や、五重塔の記事はこちらをどうぞ↓
名建築記憶と記録 法隆寺 金堂・五重塔・廻廊編 図解付き法隆寺以外の飛鳥様式の建築物
法隆寺以外でも飛鳥様式の建築を見ることができます。
法隆寺周辺では、法輪寺、法起寺の三重塔が飛鳥様式になります。
蘇った飛鳥の三重塔・法輪寺と、ひそかな世界遺産・法起寺大阪の四天王寺は鉄骨鉄筋コンクリートで飛鳥様式で再建されています。
現代の技術と古代の美意識との融合 四天王寺法隆寺を見て他の建築と見比べると、微妙な違いがあったりするので、またおもしろい味方ができると思います。