蘇った飛鳥の三重塔・法輪寺と、ひそかな世界遺産・法起寺

法隆寺近郊にある法輪寺と法起寺を紹介します。法輪寺、法起寺ともに飛鳥様式の三重塔があります。法輪寺は昭和50年に再建、法起寺は飛鳥時代と建立された時代は異なりますが、どちらも素敵な塔なので紹介していきたいと思います。
法隆寺の五重塔と合わせてみると飛鳥様式の塔の構成がより分かりやすくなると思います。

法隆寺の建築群の見どころを解説 図解付き 金堂・五重塔・廻廊編

法輪寺と法起寺について

法輪寺は奈良県生駒郡斑鳩町にあるお寺です。法輪寺は法隆寺から北へ徒歩約30分ほどのところにあります。法輪寺には飛鳥時代の国宝の三重塔がありましたが、昭和19年の夏、落雷で焼失してしまいました。焼失が戦時中だったこともあり、戦後の物価の高騰、資源不足などにより再建には相当苦労されたそうです。昭和50年、焼失から31年後、三重塔は西岡常一を棟梁として再建されました。

法起寺は法輪寺から東に20分ほど歩いたところにある、古いお寺です。飛鳥時代の国宝の三重塔があります。法起寺は聖徳太子が建立した寺の一つになっています。法隆寺とともに世界遺産にも登録されています。

蘇った飛鳥の三重塔・法輪寺

法輪寺三重塔は昭和19年に焼失した後、昭和50年に西岡常一棟梁の手により再建されます。飛鳥様式を忠実に守って再現されています。柱の胴張、雲斗雲肘木、卍崩しの高欄など飛鳥様式の特徴がよく表れています。

法隆寺の五重塔は初層に裳階(もこし)が付いているので、柱の胴張り、軒下の組み物などがわかりにくいですが、この塔は裳階がついていないため、それらの特徴がよくわかります。

法隆寺の五重塔も逓減率(ていげんりつ)が大きいですが、この塔も逓減率が大きくなっています。

下の写真で初層と三層目の平面的な大きさが変化しているのがよくわかると思います。初層は柱間三間、二層目も柱間三間、三層目になると柱間は二間になります。軒の出も大きく軽やかな印象です。バランスが取れている美しい三重塔です。

法輪寺三重塔 クリックすると拡大されます

再建に携わった西岡棟梁の紹介を少ししておきます。西岡棟梁の家系は祖父の代から法隆寺の宮大工で、幼いころから、宮大工の英才教育を受けていたそうです。西岡常一棟梁は薬師寺の金堂や西塔を手掛けられた宮大工の棟梁です。西岡棟梁の本は結構出ていますので、興味のある方は探してみてください。

この塔の設計は竹島卓一博士ですが、塔の建設にあたり西岡棟梁とかなり白熱した議論があったそうです。竹島博士は鉄骨で補強した方式を採用しようとしましたが、西岡棟梁はそれを否定されました。西岡棟梁の意見は、木を補強するために鉄を使うと、逆に木を痛めつけることになるということで、鉄を使うことに反対だったようです。

なかなか双方の意見は折り合わなかったようですが、議論の末に最低限の鉄で補強するという折衷案で落ち着いたようです。下からよく見ると少しだけ鉄が見えている個所があります。

2019年現在この塔は築44年になります。今時の住宅等であれば、そろそろリフォームしようか、建て替えようか、となりますが、この塔は44年という時間の経過を感じさせません。これから何百年とこの姿が伝わっていって欲しいと思います。

 

MEMO
  • 昭和19年落雷により焼失、昭和50年西岡棟梁の手による再建
  • 飛鳥様式を忠実に守って再建
  • 2019年で築44年 まだまだこれから
  • 飛鳥様式が近くで見れる

ひそかな世界遺産・法起寺 三重塔

法起寺 入口

法起寺は法輪寺から東に向かって徒歩20分くらいのところにあります。日本最古の三重塔がある世界遺産に登録されているお寺です。

法隆寺を見ても、法起寺まで来られるかたはとても少ないので、三重塔を写真に撮りたい方は穴場かもしれません。発起寺の三重塔は、法隆寺、法輪寺と同じく飛鳥様式です。

この塔は、中世に大規模な修理がされたため原型が損なわれた部分があるようですが、昭和の解体修理の際できるだけオリジナルに復元されました。

この塔も逓減率が大きくなっています。飛鳥時代から現在まで、ところどころ修理されながら、今も美しく建っています。

三重塔 軒下

この塔も法輪寺と同じく初層の軒下がよく観察できます。雲形の肘木、雲形の斗栱、角繁垂木の様子がよくわかります。千年の風雪に耐えた木はそれ自体で存在感があります。この塔は法輪寺と同じく、軒下がよく見えるので、古代の匠の技を近くで感じられます。

休憩所から三重塔を撮る

法起寺は小さなお寺で、人が少ないので、写真は撮りやすいです。池があるのですが、池越しに見る三重塔はなかなかきれです。池に蓮があったので、蓮の花が咲くころ行くときれいな写真が撮れると思います。

 

MEMO
  • 法起寺は世界遺産
  • 飛鳥時代の日本最古の三重塔がある
  • 人がすくないので写真が撮りやすい
  • 近くで、観察できる

飛鳥様式を図入りでまとめてみました↓

飛鳥様式の特徴を解説。胴張の柱、卍崩の高欄、雲斗雲肘木等図解入りで解説 

 

まとめ

法輪寺、法起寺ともに飛鳥様式の三重塔の紹介でした。両塔とも同じ三重塔、同じ様式ですが、受ける印象はまったく違います。どちらがいいとか、悪いとかではなく、どちらもそれぞれの物語があります。法輪寺は再建された塔ですが、沢山の人の情熱により再建され、建築の素晴らしさを教えてくれます。法起寺は千年を超える時間を超えて私たちに歴史を伝えてくれています。

どちらも小さなお寺ですが、一度行かれてみてはいかがでしょうか。

法輪寺・法起寺への行き方

法輪寺、法起寺への行き方ですが、公共交通機関になるとバスで行くしかありません。法隆寺から法起寺前までバスが出ています。

効率よく回りたい方はタクシーのほうがいいかもしれません。

法輪寺には無料駐車場があります。

 

法起寺の地図はこちら。  奈良県生駒郡斑鳩町大字岡本1873番地


法輪寺の地図はこちら。 奈良県生駒郡斑鳩町三井1570