周囲の色に同期するカレイドスコープ すみだ北斎美術館


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すみだ北斎美術館と妹島和代について

すみだ北斎美術館は葛飾北斎の美術館です。常設展は北斎の生涯を辿りながら鑑賞できるようになっています。この館は、美術館だけでなく、図書館や、様々な講座が開ける講座室がある地域に開かれた美術館です。この記事は北斎にスポットを当てるのではなく、美術館の建築に焦点を当てて書いていきます。

建築の設計は妹島和代建築設計事務所です。妹島和代建築設計事務所は世界中で様々なプロジェクトを行っている、世界的な建築事務所です。


建築の概要 規模 構造 外観等

  • 構造 鉄筋コンクリート 一部鉄骨造
  • 建築面積 699.67㎡
  • 階数 地下1階 地上4階

となっています。そんなに大きくないですが、形がおもしろい形をしているので、外部のインパクトはけっこうあります。

北側の公園から撮ったところ クリックすると拡大されます

外装のアルミパネルが周囲をぼかして反射させています。このときは晴天で、外壁と空の色が同期していました。外壁を切り裂いたようなスリットがカッコいいですね。この外壁のパネルはかなり大きいですが、波打っている部分も少なく、パネルの映りこみもきれいでした。施工精度が高かったのがわかります。

下から見上げたところ

パネル端部のエッジが効いています。通常金属パネルの端部を切りっぱなしで納めることはあまりしませんが、パネルの小口をそのままにすることで、切り裂いたような印象を与えるようになっています。こういった細かいところが全体の印象に大きく作用します。

下の三角形のスリットが建物の入り口になります。この建物は正面というものがありません。東西と南が道路に面していて、北側は公園に面していて、どの面からも内部にアクセスできるようになっています。逆三角形のスリットは各階で採光が取れるようになっています。この外装で普通に開口部をとると外観はだいなしになると思うので、採光の取り方がうまいなと思いました。ただ、この逆三角形の部分は雨が入ってくるので、雨仕舞はかなり難しくなっているのが予想されます。

スリットに入って見返したところ クリックするとすると拡大されます

スリットに入ると写真のような空間になります。内部のガラスのカーテンウォールが傾斜しているので、外部の光を反射してまるで万華鏡のようになります。きれいかどうかはともかく面白い空間です。朝早く行くと人がいない写真がとれます。

このカーテンウォールも施工は難しかったと思います。三角形の頂点の部分がきれいにおさまっているのが写真でもわかると思います。この中を通るとこの美術館の期待が高まります。

エントランスから撮影 クリックすると拡大されます

中から外をみるとこんな感じです。エントランスでチケットを買うとエレベーターで4階まで上がります。展示室は4階と3階になっていて、順路は4階から階段で3階まで降りて展示を順番に見ていくことになります。2階に展示室はないので、3階の展示を見終わると、エレベーターで1階に戻ります。

敷地が狭いため順路に縦の移動が必要になっています。車椅子の方はエレベーターで移動できるので、問題なくすべての展示室を鑑賞できます。

内部の螺旋階段です クリックすると拡大されます

螺旋階段で4階から3階に降ります。螺旋階段の手すりは、鉄板の曲げものです。最近の階段の手摺はフラットバーの縦格子だったり、ガラスの手摺だったりしますが、鉄板1枚の曲加工の物は初めて見ました。余計なものが全くないのでいいですね。スッキリとしています。この鉄板もよく曲げたなと感心します。

外から見た三角形のスリットの頂点部を内部からみたところ

3階のホワイエから撮った写真です。三角形のスリットの頂点は3階の高さになります。壁下の照明が三角形のスリットを際立たせています。

スリット部分からスカイツリーが見えます。狙い通りでしょうか。ピッタリおさまっています。

まとめ 最寄り駅、料金

すみだ北斎美術館は、カッコイイデザインですが、それを美しく実現した施工もすごいです。3次元でモデリングできるとはいえ、実際に鉄を切ったり、曲げたりは高い技術が必要です。北斎の技術もすごいので、建築と浮世絵を両方楽しめる、一粒で二度おいしい美術館でした。

北斎美術館の最寄り駅

  • 都営地下鉄大江戸線 両国駅 E12出口 北斎通りを東へ徒歩約5分
  • JR総武線 両国駅 東口より徒歩約10分

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