旧三井家下賀茂別邸

旧三井家下賀茂別邸は京阪電車出町柳駅徒歩5分のところにある三井家の元別邸です。現在は重要文化材に指定され、京都市が管理しています。主屋は木屋町にあった三井家の別邸が移築されたものです。大正14年(1925)に玄関棟が増築され現在のかたちになりました。近代の日本建築と庭が楽しめます。

通常の公開部分

通常公開では主屋の1階部分と庭を見ることができます。2階は予約をすれば、食事や会合などに利用できます。

外から見て気になる3階の望楼ですが、ここは秋に特別公開がされるそうで、その時にしかみれないそうです。3階からの眺めはいいようで、比叡山や大文字山などが見えます。

今回は特別公開などありませんでしたが、けっこうな人が見学に来ていました。特別公開がある時は、早めに予定を組んでおいたほうがいいと思います。

主屋平面

内部の見どころ

豪邸ですが、そんなに際立った意匠というものはありませんでした。よくある豪邸のギラギラした、お金あります的なデザインはなくて、落ち着いた品のある意匠です。

ところどころに視線が抜けるところがあり、光の入り方がとてもきれいでした。

座敷の廊下を見る

廊下から六畳半の部屋をみる

部屋の向こう側の光がいい感じでした。外壁がコの字になっている部分が坪庭のようになっています。

座敷

八畳と六畳の続きの座敷がこの建築の一番の見どころです。

庭を望む南面の建具は障子とガラスを組み合わせた面白い建具です。障子で庭を切り取るようなピクチャーウィンドウになっています。

この障子が連続しているので、パノラマとはいきませんが、ある程度庭が連続して見えます。

 

 

ガラスは明治時代のガラスだそうです。2枚だけ割れて現代のガラスに替えられています。古いガラスは波打っていますが、雰囲気があるのでいいですね。

床の間

床の間の床柱は檳榔樹というヤシ科の常緑樹になっています。ビンロウの実は東南アジアなどで嗜好品とされています。檳榔樹が使われているのを初めて見ました。

この時に床の間に掛けられていたのは、葛飾北斎の山水図でした。複製品ですが、いい感じです。写真も撮影OKでした。

北斎の山水図

杉戸絵

内玄関次の間に原在正の見事な孔雀の杉戸絵があります。原在正は原在中の長男です。33歳で亡くなったため、作品が少なく貴重な作品だそうです。

写真撮影は禁止なので、残念ながら写真はありません。

 

作庭は薮内竹翠とその次男の節庵です。庭へは座敷の縁側から庭に降りることができます。コケの部分は立入禁止なので、その外側から見るようになります。

庭から見る主屋もとても趣があります。

飛石

庭の真ん中に池があります。この池の水は糺の森も流れている小川から引き込まれているそうです。

梅雨時で苔や、葉の緑が曇り空に映えていました。庭も建築と同じく品のある庭でした。

 

手水鉢

手水鉢にアジサイが活けられていました。季節を感じられるおもてなしがいいですね。

外観

門から敷地に入ると、目につくのが3階にある望楼です。どこから見ても、ここに行きたいと思わせられます。残念ながら、非公開なので、特別公開を待つしかありません。北側からみると屋根が入り組んで、複雑になっています。

庭から主屋を見る

庭からの外観です。う~ん、やはりあの望楼に入ってみたいとここでも思ってしまいます。

望楼からのながめ

この望楼がこの建築の面白さだと思います。もしこの望楼がなかったら、そんなに魅力的な外観にはなっていないのではないかと思います。

この高欄の板が雰囲気を出しています。こういうところのデザインが面白いですね。

庭から茶室を見る

庭から見た茶室です。大きな丸い窓が開いています。茶室は四畳半と三畳の次の間がこの庭に向いてあります。円窓の部屋は三畳の次の間になります。

一畳台目の茶室もあり、それは庭の反対側にあります。

茶室の中はこんなかんじ

茶室は主屋が移築される以前からあり、幕末以前から建っていたそうです。

 

外観ではないですが、縁側の軒裏の意匠も丸の垂木で化粧軒裏になっています。

まとめ

旧三井家下賀茂別邸は建築、庭、内部の意匠など色々と楽しめました。2階の部屋や茶室は貸室としても利用できるので、10人くらいの団体で見学する場合は貸室を借りて見学するのもいいかもしれません。

お座敷では簡単なカフェメニューがあり休憩にも使えます。

こういう文化財が現代も有効に利用できているのは本当にいいことだと思います。

京都観光のオフィシャルサイトより公式の情報がみれます

行き方は京阪本線、出町柳駅が最寄り駅です。徒歩5分とアクセスも便利です。