法隆寺の建築群の見どころを解説 夢殿、東院の鐘楼編

奈良県斑鳩町にある法隆寺は、世界最古の木造建築物があり、世界遺産にも登録されています。境内は西院、東院と大きく2つに分かれています。西院伽藍の金堂、五重塔、廻廊は飛鳥様式で法隆寺の中でも最も古い建築物です。法隆寺は規模が大きいので3回に分けて紹介していこうと思います。この記事は、主に東院伽藍について書いていきます。法隆寺の素晴らしい建築について伝えていければと思っています。

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法隆寺の建築群の見どころを解説 図解付き 金堂・五重塔・廻廊編


東院の伽藍配置

 

東院の伽藍

東院は夢殿(ゆめどの)を中心とした配置となっています。東院の見どころはやはり夢殿ではないでしょうか。

礼堂、絵殿、舎利殿は外部から眺めるしかありません。

入口は南門ではなく、西院伽藍から四脚門(しきゃくもん)を通って夢殿にたどり着くことになります。東院伽藍はチケットが必要になります。

夢殿 国宝 奈良時代

夢殿を南側からみる

夢殿は聖徳太子と等身大の救世観音像が祭られています。春と秋に本尊の特別開帳があります。

夢殿の概要

  • 断面構成は単層
  • 平面構成 八角円堂
  • 屋根 本瓦葺き

夢殿の見どころ

夢殿は西円堂と同じく平面は八角形で柱も八角形になっています。

壇上積、二重基壇の上に建ち、擬宝珠高欄が巡っています。擬宝珠(ギボシ)とはタマネギのような形をしたお寺でよく見かけるやつです。

夢殿の擬宝珠(ギボシ)

扉は四面につきそのほかは連子窓内部板張りになっています。扉を開いた時の上部の欄間がアクセントになっています。

夢殿は奈良時代の建物ですが、鎌倉時代に何度か修理されており、屋根を含めて大改造が行われて現在の姿になっています。鎌倉の大改造で一番大きな改修は屋根の勾配が変わっていることです。

創建当時は今の屋根勾配よりも、もっと緩かったようです。

他の建築物でもそうですが、屋根の勾配が創建当時よりも変化している建築物は多くあります。屋根の勾配で建築物の印象は大きく変わってきます。そのため創建当時よりも重厚な印象になっています。

東大門から夢殿を見る 屋根勾配がよくわかる

東大門から夢殿を撮影した写真です。この写真で屋根の勾配が急なのがわかるかと思います。創建当初は屋根勾配がもっと緩かったようです。

夢殿の宝珠

屋根のてっぺんに乗っている火の玉のような飾りを宝珠といい、夢殿の宝珠はとても派手で面白い造形になっています。西圓堂の宝珠と比べると派手さがよくわかります。

古建築の見どころは、こういった細部に芸術が散りばめられているところではないでしょうか。

黒い鳥は本物のカラスです。カラスが2羽ちょうどいい位置にとまっていました。

夢殿の内部の天井

夢殿の内部には入れませんが、外から中を覗くことはできます。中は暗いので外から目を凝らさないとなかなか見えません。内部の天井はドーム型になっています。

上記のスケッチは思い出しながら、平面を考えながら書いています。簡単なスケッチでなかなかイメージしずらいと思いますが、一度夢殿にいかれた時は中をのぞいてみてください。

礼堂 重要文化財

夢殿より礼堂堂をみる

礼堂は1231年に建てられました。夢殿に向かった面はすべて蔀戸(しとみど)になっています。蔀戸をすべて開けるとかなり開放的になると想像できます。

絵殿 舎利殿 重要文化財

絵殿と舎利殿は一つの建物

向かって右側が舎利殿、左側が絵殿になります。ここはおおざっぱに言うと蔵です。ただの蔵ではなく宝物を収める蔵だそうです。真ん中の開口部分は馬が通る道だったようです。ただこの石の階段を馬が通れるのかは謎です。石の階段は後からつけたものかもしれません。

馬道(めのと)から伝法堂をみる

舎利殿、絵殿の間から伝法堂が見えます。

鐘楼 国宝 鎌倉時代

東院の鐘楼

この鐘楼は東院伽藍を出て、少し北に行ったところにあります。この鐘楼はほとんどの人が通り過ぎていますが、通り過ぎるにはもったいない建築物です。

法隆寺を一日回って最後にたどり着くのは東院伽藍ですが、最後の最後にこの鐘楼があります。東院伽藍から出たらこの鐘楼を見ることをオススメします。

鐘楼の見どころ

この鐘楼はスカートをはいているような形をしています。このような鐘楼を袴腰付鐘楼といいます。

今は袴腰部分の三分の二は板張りになっていますが、もともとは漆喰塗だったそうです。

この袴腰と上部のバランス、屋根を支える軒下の組み物の部材寸法、高欄の高さと部材の細さなど、絶妙なバランスで構成されています。法隆寺の中でも小さな建築物で、大きさに圧倒されることはありませんが、全体のバランスがとても美しい建築です。

鐘楼の軒下を見る

鐘楼の軒下部分を見上げた写真です。垂木、組物、切目縁、高欄などそれぞれ繊細な寸法になっています。

繊細ですが、まったくヨワヨワしい感じはせずにバランスよくまとまっています。法隆寺にきて4回目くらいの時にこの鐘楼の凄さに気づきました。噛めば噛むほど味が出るそんな建築です。

伝法堂 国宝

伝法堂

伝法堂は住宅として使われていました。奈良後期時代の住宅建築が残っているのはとても貴重な遺構であります。

妻側からみると二重虹梁蛙股の形式がよくわかります。

南門 重要文化財

東院にも南門はありますが、まったく使われていません。道路から南門は見ることができます。

東大門 国宝

西院から、東院に向かうときに通る東大門です。この門も国宝になっております。何気なく通るこの門ですが、もともとはこの場所にはなかったらしく、南向きの門としてどこかに建っていたものを、1039年頃に現在の場所に移築されたそうです。

東大門は三棟造りという形式で屋根がかかっています。妻側は伝法堂と同じく二重虹梁蛙股となっています。西院から東院に行く途中にあります。

東大門の断面と立面のスケッチ

版築の塀

法隆寺境内の塀は、ほとんどが版築でできています。重要文化財になっている塀もあるようです。

版築とは何層も土を突き固めて壁を築く工法のことです。境内を歩いていると、塀の表情がそれぞれ違っているのがわかると思います。

版築の塀は施工するのが難しく、作る度に試行錯誤をしているのが塀の表情の違いになって表れています。

版築の塀が法隆寺全体の柔らかい雰囲気を作っているように思います。

まとめ

三回に分けて法隆寺の建築を見てきました。法隆寺にいかれたときは参考にしてください。一つ一つの建築を詳細には紹介できていませんが、見どころが少しでもわかって頂けたら幸いです。五重塔や金堂は大きいのでそれだけで見ていておもしろいのですが、細かい部分や、小さな建築物の楽しみかたが少しでも伝わったらいいなと思い書いています。

名建築を見に行くと毎回印象が違います。法隆寺のような歴史のある大きなお寺は一回見ただけではなかなか良さがわかりません。法隆寺は今後また行く機会があると思うので、またこの記事もその都度更新していこうと思います。