名建築記憶と記録 法隆寺 南大門、西円堂、聖霊院編図解付き

男は朝早く現存する日本最古の寺に向かっていた。

そうここは奈良県斑鳩町にある法隆寺だ。

世界最古の木造建築物があり、世界遺産にも登録されている。

男は法隆寺の入り口にあたる南大門にたどり着いた。早朝といえども人は少なからずいる。

男は南大門をまえにして心のなかで呟いた「たのもう~」

五重塔・金堂・法隆寺の創建についてはこちら↓ 
名建築記憶と記録 法隆寺 金堂・五重塔・廻廊編 図解付き

夢殿・東院はこちら↓
名建築記憶と記録 法隆寺 夢殿、東院の鐘楼編


境内のあんない

法隆寺はひろい、大きく西院、東院に分かれている。西院は五重塔、金堂を中心として、西円堂、三経院、聖霊院がある。


南大門 国宝 室町時代

南大門を南側からみる

むかーし昔、南大門はもともとは中門の前に建てられていたが、子院(お坊さんの住居)が増えてきたため、位置を変えて現在の位置になっている。現在の南大門は1436年~1438年(室町時代)に再建されたものだ。

南大門の概要

  • 断面構成は単層
  • 平面構成 桁行三間、梁間二間
  • 屋根 入母屋造り、本瓦葺き

南大門の素敵なところ

南大門と聞いて東大寺の南大門をイメージするとこの門はあまりにも小さい。しかし、この小さき門にもきらりと光る部分がある。

中備え(柱上部の間にある部材)が花肘木になっていて、この南大門のアクセントになっている。

頭抜(ずぬき)の木鼻にも彫刻が施されている。

奈良後期時代以降は南大門に仁王像が入るが、古い時代には南大門には入らずに、中門に仁王像が入るようになる。

派手さはないが、日本最古の寺の中に入る期待を高めてくれる。う~ん「興奮してきたな」

花肘木

花ヒジキと木鼻のスケッチ

西圓堂 国宝 鎌倉時代

階段下から西圓堂をみる 正面と階段の軸が少しずれている

西円堂は境内の北西にある。1050年(永承五年)に破損し1250年(建長二年)に再建された。西円堂は円堂といっても、平面形状は八角形で、柱も八角形になっている。

西圓堂の概要

  • 断面構成は単層
  • 平面構成 八角円堂
  • 屋根 本瓦葺き

おだんごが乗る西圓堂

西圓堂は法隆寺の中でも少し高くなったところに建っている。夢殿も八角形で似ていますが、違いとしては、基壇(石の基礎部分)は夢殿よりも低く、高欄もない。

柱と柱の間の上部は間斗束(けんとづか)で夢殿よりも少しシンプルな構成になっている。

北北西からみる

柱となげしのおさまりスケッチ

柱は八角形で横材と取合う。柱は太く力強い印象を受ける。宝珠はとてもシンプルで鉄でできている。夢殿の火の玉が燃え上がるような宝珠と比べるととてもシンプルだ。

西圓堂の宝珠は少し扁平な球で、屋根頂部におだんごが乗っかっているようで、なんだか落ち着く。

この西円堂から五重塔と金堂が見える。ここから見ると五重塔、金堂の屋根がよくわかる。伽藍の回廊の中からは屋根を見ることができないので、屋根の勾配や、金堂の妻側などはここからみることができる。

西圓堂より五重塔・金堂をみる

上の写真は西円堂から撮影。

 

 

三経院・西室 国宝 鎌倉時代

三経院

 

三経院・西室の概要

  • 断面構成は単層
  • 平面構成 梁間正面五間、後方四間
  • 屋根 本瓦葺き 正面中央の向拝は檜皮葺き

三経院・西室は桁行前方七間が三経院、それより後方十二間が西室となっている。次にみる聖霊院と前方からみた形はよく似ている。というかほぼ同じ形だ。西院伽藍を軸として、聖霊院とシンメトリーのようになっている。ちなみに三経とは、法華、勝曼、維摩の事だ。

西室入り口(中にははいれません)

西室では時々講義が行われている。何百年も前に作られた建築が今も現役で利用されているのはすごい事だと思う。この写真を撮影した日も講義が行われていた。

聖霊院 国宝 鎌倉時代

聖霊院

 

聖霊院の概要

  • 断面構成は単層
  • 平面構成 梁間正面五間
  • 屋根 本瓦葺き 正面中央の向拝は檜皮葺き

すごいぞ、すごいぞ!聖霊院

聖霊院は三経院・西室の反対側にある建物で太子像や、山背大兄王像などが安置されている厨子がある。

太子像の他にも高句麗の僧、恵慈法師の像が安置されている。

その内部にある厨子は総漆塗で、唐破風やカエル股など非常に美しい造形になっている。唐破風は日本最古の唐破風だ!!

この聖霊院の厨子の意匠は本当に美しかった。緩い勾配の唐破風、バランスのいい蟇股、この聖霊院の厨子を見ずして法隆寺は語れない。

内部は写真が撮れないが、拡大された写真が展示されている。ちなみに御朱印はここ。

内部厨子唐破風のスケッチ

綱封蔵 国宝 平安時代

※綱封蔵から大宝蔵院へはチケットが必要です。五重塔、金堂を先にみてから、ここにきましょう。

 

綱封蔵 南側より

綱封蔵の概要

  • 断面構成は単層、高床式
  • 平面構成 桁行九間、梁間三間
  • 屋根 本瓦葺き

法隆寺の蔵 綱封蔵

綱封蔵(こうふうぞう)は法隆寺の蔵だ。

綱封蔵は双倉(ならびぐら)という形式で、古い双蔵としてはこの蔵しかなく、貴重な遺構になっている。東大寺の正倉院も双蔵の形式だったそうだが、今は吹き抜き部分がなくなっていて、双倉の形がわからなくなっている。

綱封蔵は高床式になっているが、どっしりとした安定感がある。ダイナミックで純朴な雰囲気をもった建物となっている。

綱封蔵 正面のスケッチ

綱封蔵の前は通路になっていて引きがとれないので、スケッチしてみました。

各部のおさまりは簡略化されている。簡略化されているため簡素で力強い印象を受ける。

この綱封蔵は装飾が一切ないため、現代的な印象を受ける。

男はこの吹き抜きになった部分をインナーテラスにして住んでみたいと思った。

ななめから

食堂 国宝 奈良時代

 

食堂と細殿 奥に見えるのが細殿

食堂概要

  • 断面構成は単層
  • 平面構成 桁行七間、梁間四間
  • 屋根 本瓦葺き

地味に貴重な食堂

綱封蔵を少し行くと食堂がある。食堂は奈良時代後期の建築物だ。食堂と並んで細殿がある。この二棟は双堂の形見られる貴重な遺構になっている。大宝蔵院を目指して歩くとすぐに通り過ぎてしまうので、綱封蔵のすぐあとに食堂があるので細心の注意をしなければいけない。ただ生垣と柵があって近くに寄ってみることはできないのだ。

大宝蔵院

大宝蔵院は百済観音像、玉虫の厨子など国宝が盛りだくさんになっている。ここは時間をかけてじっくり見たいところだ。

実は男も時間をかけてあまり見たことがない。

男は、大宝蔵院の入口にある金堂の模型と出口付近にある五重塔の模型、それと実物大の雲肘木がお気に入りだっ!!

それ以外にも仏舎利容器のレプリカもとてもきれいであった。

最後に 開門時間 拝観料など

法隆寺の核になる五重塔、金堂以外でもたくさんの国宝の建築物があります。

本当に隅から隅まで見ようと思うとけっこう時間がかかります。

私は5回くらい法隆寺に建築を見にきていますが、来るたびに新しい発見だったり、新しく感じることがあります。

また法隆寺に行って新しい発見なりがあればまた更新していきます。

法隆寺へはJR大和路線 法隆寺駅が最寄駅になります。

法隆寺周辺には駐車場があります。

最後に拝観時間と拝観料金を案内しておきます。

  • AM8:00~PM5:00 2/22~11/3
  • AM8:00~PM4:30 11/4~2/21
  • 大人1500円(西院伽藍、大宝蔵院、東院がみれます)
  • 小学生750円

 

人の入らない写真をとろうと思い朝早く行きましたが、けっこう人がいました。9時くらいになると修学旅行や、団体旅行の人たちが増えてくるので、写真を撮りたい方はできるだけ早くいったほうがいいかもしれません。

西院伽藍の金堂と五重塔についてはこちら↓

名建築記憶と記録 法隆寺 金堂・五重塔・廻廊編 図解付き

法隆寺の地図